江戸の落穂 ~焼け場の稲荷~

夢野晴吉先生のコラム第十五弾
江戸の落穂 
 ~焼け場の稲荷~をお届けいたします。
 
江戸の落穂 
~焼け場の稲荷~
 
 「焼け場の稲荷」という言葉をご存知でしょうか?
昔はよく職人同士で使っていました。
 
 例えば・・・、
「熊さんは本当に焼け場の稲荷で取柄(とりえ)がないからな」
と言われれば、役に立たないという意味でした。
 
 お稲荷さんには、たくさんの鳥居が奉納されていますが、
火事の後のお稲荷さんには鳥居が無い(取柄が無い)と洒落でひっかけたものですが、悪意のある場合よりも、仲間同士のからかいずら(=ちょっとした、からかいかた) に使ったものです。