江戸の落穂 ~纏の不思議な使い方~

夢野晴吉先生のコラム第三十五弾  
江戸の落穂 
~纏の不思議な使い方
をお届けいたします。
 
 
 江戸時代からあった纏にまつわるおまじないについてお話しましょう。
 
 纏の周辺に付いている細長い革の飾りを
『馬簾(ばれん)』と言います。
 
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 馬簾は長年使うとちぎれてしまうのですが、
それをおかみさん達が頭(かしら)から貰ってきて、黒焼き(くろやき)にして子供のあせもの薬にしていたそうです。
 
 子供のあせもがひどいものを「飛び火」と呼んでいましたので、纏で飛び火を直すのだと言っていたのです。
 
 ちょっとした洒落のようですが、纏の馬簾は革に胡粉(ごふん・・・日本画で用いる貝殻を焼いて作った白色の顔料)や、お白粉(おしろい)が塗ってあったと言われるので、黒焼きにして使えば、あながち迷信だけでは無かったのかもしれません。
 
 まして『よ組』の纏の白は全てお白粉だったと言われてますので、より効果が期待出来たかも知れませんが、江戸時代のこうした話には駄洒落のような事が多かったのです。 
 
 今年の夢野晴吉コラムは、これにて終い(しまい)とさせて頂きますが、来年も変わらずにお付き合い頂ければと思います。

 皆様どうぞ良いお年をお迎え下さい。