江戸の落穂 ~江戸っ子気質(1)

 
夢野晴吉先生の新春のコラム第七弾
 
江戸の落穂 ~江戸っ子気質(1)~をお届けいたします。
 
 
 
江戸の落穂 ~江戸っ子気質(1)
 
正月の三日、テレビで「め組の喧嘩」を見ました。
華麗な舞台とお酒に酔いしれて、最高の気分。
 
役者も大変でしょうが、この影にいかにも「江戸っ子気質」といえる話が隠れていました。
それは芝居の方ではなく、め組の内々の事です。
 
全ての芝居小屋でした事ではありませんが、
例えば菊五郎劇団のような名のある芝居一座の興行で「め組の喧嘩」がかかると、
め組が一日や二日の総見をやったのです。
(総見・・・興行を買い切る)
 
そして自分の町内を名乗る役者を始め、小屋中の人々に、
祝儀は勿論、時には刺し子や半纏などを作ってあげるので、
め組では「め組の喧嘩」を出し物にされる度に大変な出金(でがね)になるので、
め組の町内の頭達はそれを用意するため、毎月掛け金をしていたとのことです。