江戸の落穂  ~二十日正月~

夢野晴吉先生の新春のコラム第六弾

 江戸の落穂 ~二十日正月~ をお届けいたします。

江戸の落穂 ~二十日正月

今日では余り重きを置かれぬ二十日正月ですが、以前は大事な行事だったのです。

江戸時代、使用人を雇い入れるということは、住み込みで働くということで、
多くの雇い人を持つ大店(おおだな)には、賄いを専門にする台所番頭が置かれ、
賄い担当の男女を置いて、一切の食事を作っていました。

しかも当時の大店では「店屋物」をとることを嫌うので、
一般の奉公人と同様「やぶ入り」をさせるわけに行かず、
正月の二十日に休ませたので、二十日までは、玉飾りは付けたままにして、
正月気分を味合わせたものです。

それで二十日正月というのも、割りに皆んなが祝ったものです。
早く言えば、賄い方のお正月といえます。


 藪入り(やぶいり) 1月16日
奉公人が正月と盆の16日に、主家から休暇をもらうこと。
または、その日を言います。
その日は親元に帰ったり、祖先の墓に参ったり、あるいは知己を訪ねたりします。
薮入りは古くから行われており、初めは正月だけでしたが、
江戸中期からは、7月にも薮入りをさせるようになりました。