江戸の落穂 ~江戸っ子気質(2)

 
夢野晴吉先生のコラム第八弾

江戸の落穂 ~江戸っ子気質(2)~をお届けいたします。

 
 
江戸の落穂 ~江戸っ子気質(2)

火消しを題材にした芝居ではまだ面白い話があります。

最近では余り上演されませんが、「は組小町」が上演された時、
神田須田町一丁目の頭、「須一の清太郎」(すいちのせいたろう)になった役者に、
須田町の頭が刺子や半纏を作った時、
水を通っていない「新す造り(あらすづくり)」(新品)はおかしいと毎日息子に刺子を洗わせました。

これは、一度火掛り(ひがかり)に行けば、新品のものも洗うと紺が落ちて色がさめるので、
本物らしく見せる為に私の伯父は毎日洗濯させられて、ひどい目にあったと笑っていました。

祝儀やそのような物を作り、お金が足りなくなって、初めて高利貸からお金を借りたそうです。

今では考えられない話ですが、これは本当にあった話です。

江戸気質とはこんなものです。