江戸の落穂~江戸っ子気質と彫物(2)~

夢野晴吉先生のコラム第十一弾
江戸の落穂 
 ~江戸っ子気質と彫物(2)~をお届けいたします。

 
江戸の落穂~江戸っ子気質と彫物(2)~ 
 

 江戸の社会で刺青がことさら受け入れられていたかと言うと、
そうではありませんでした。
 
 商家では余り歓迎されませんでしたし、
刺青は職人衆の心意気を見せるものとされ、
主に野職(やじょく)と呼ばれた外で働く大工や、
鳶、左官などの人々が多く彫っていました。
 
 屋内で仕事をする居職(いじょく)の人々、
経師屋(きょうじや)や、畳屋などは少なかったと申します。
 
 お店(おたな)に出入りする居職の人は、
お店に遠慮して背中だけに刺青をしたので、大きな鏡でも無ければ、
一生涯、自分の彫り物を見る事ができなかったと言う話があります。
 
                                    続く・・・