江戸の落穂~番外編・のどかな昔の旅模様 ①~
夢野晴吉先生のコラム第十二弾
江戸の落穂
~番外編・のどかな昔の旅模様 ①~をお届けいたします。夢野晴吉先生の実体験に基づく旅模様をお楽しみください江戸の落穂~番外編・のどかな昔の旅模様 ①~ゴールデンウィークを迎え、皆さんも色々な所に遊びに行かれている事でしょう。最近、東京駅の駅舎の屋根が戦前と同様の姿に復元されたとか・・・それを聞いて昔の懐かしい思い出が色々と蘇って参りましたので、少しお話ししたいと思いますが、昔のような習慣までは復活しないでしょう。昭和初期の頃でも箱根の山を越えて、何日もかけて旅する事は大変な事だと思われていたので、そういう時は東京駅や上野駅に近所の人が見送りに来て、餞別(せんべつ)が渡されるのが普通でした。あれは、昭和十年頃だったと思います。我が家で広島に住む父の友人の所に遊びに行った時なども、町内の人がプラットホームに二十人以上も見送りに集まりました。この時も近所の人が父に餞別を渡してくれましたが、餞別とはお別れのしるしの意味ですので、それほどに長旅は皆が心配してくれたのです。東京駅の屋根は昔に戻っても、こうした習慣が戻る事はないでしょう。続く・・・広島滞在時の1枚一番小さいのが私