江戸の落穂 ~店屋物は昔のお・も・て・な・し~

夢野晴吉先生のコラム第三十四弾  
江戸の落穂 
~店屋物は昔のお・も・て・な・し
をお届けいたします。
 
 
 店屋物(てんやもの)・・・お店から出前でとる食べ物ですが、主にお寿司や天丼など、今時なら宅配ピザといったところでしょうか?

 昔、東京の下町ではお客様がお見えになると店屋物を取る家が多かったのです。
その理由は、家庭料理よりもお店から取り寄せるものの方がごちそうだと思っている人が多かったからでしょう。

 私の家も職人の家でしたから、お客様には店屋物でおもてなしをしていました。
最高のおもてなしは、鰻重、お寿司、天丼の順で、お蕎麦が一番下でした。

 周りがそんな感じでしたので、ある時、父の友人が遊びに来た時に、
『あそこの家では人参、ごぼうで飯食わしやがって』と家庭料理でもてなされた事を愚痴っていました。