~四・五月に思ったこと(1)~

青木先生の「師匠のたまにちょいちょいひとり言」の
51
回目をアップさせて頂きます。
今日のひとり言は、
 ~四・五月に思ったこと(1)~です。


 
少し前のことになりますが、国立劇場の公演、むすめごのみ浮名の横櫛(切られお富)の切符をいただきましたので、行ってまいりました。
 
中村時蔵(五代目)さんのお富で、めずらしい舞台でした。与話情浮名横櫛(切られ与三)は皆さんもよくご存じのお芝居ですが、切られお富は女座長のために作られたお芝居だそうで今では中村時蔵家のお家芸になっているようです。
 
中村時蔵家と言えば私の記憶では三代目さんからで(年増)になっていました。四代目さんはとてもきれいな方でしたが、若くして亡くなりました。襲名後一年九ヶ月のことでした。
 
そして、何より思い出しますのは、中村錦之介さん、のちの萬屋錦之介さんです。歌舞伎からはなれ映画で活躍していました。
 
はじめて見たのは美空ひばりさんの相手役でひよどり草紙だったと思いますが、若衆でこちらもきれいでした。切られお富のお芝居を見ているうちに、とりとめのないことを思い出していました。
 
舞台のみすから聞こえる下座音楽では、端唄が流れてきて楽しかったです。
こうもり、お伊勢参り、さつまさ、どうぞ叶えて、無理な首尾して、新内流し。
 
舞台を見終りましてからゆっくり一杯飲みました。
夜景のきれいなこと、幸せな一日でした。ありがとう。
 
青木かくえ