江戸の落穂 ~梯子乗りの思ひ出~

晴吉先生の新春のコラム第五弾

「江戸の落穂」~梯子乗りの思ひ出~をお届けいたします。
 

 
江戸の落穂 ~梯子乗りの思ひ出~
 
「仕事師は馬鹿と利口の真ん中で、梯子乗る奴は、馬鹿の天辺」というそんな昔の唄があります。
鳶は仕事師とも呼ばれていました。
 
梯子乗りは町火消しの余興でしたが、
火事の時、道や方角に迷った時には梯子に乗って目的地を調べた事は確かなようです。
 
実際、梯子乗りが始めにする「遠見」という技は、方角などを調べる形を取ります。
責務が火消しである鳶達が、高所を恐れない姿を見せる為だと思われます。
 
その他に、中国の故事にもある「邯鄲(かんたん)の夢枕」をもじった「邯鄲」という技もあります。
 
梯子の二本の竹の一番上を灰吹きといいますが、丁度、煙草盆の灰吹きに見なしたのです。
二つの灰吹きに脇の下あたりと腰を支えて横の寝姿を見せるのが「二本邯鄲」、
更に、腰の所だけを支えたものを「一本邯鄲」と呼びました。
 
このような技から灰吹きの間に落ちて仰向けになって、足を開いて体を支えるのが「肝つぶし」です。
 
この他にも、「谷のぞき」、「逆さ大の字」などの芸がいくつもあります。